つばさ通信

編集・発行元:事務局
毎月1回発行

1998年 1月発行(第97号)

骨髄データ登録者数

12月(人) 累計(人)
長野 35 1,355
全国 2,060 90,757

*患者登録数 5,944人(内長野県96人)

公的骨髄バンクを通じた骨髄移植 12/31現在 (1,376例)


今月号の内容

 
Monthly Report
骨髄移植を体験して  
お た よ り  
骨髄バンク関連図書の寄贈状況
こども病院署名活動継続のお願い  
書籍案内  
お知らせ  
ドナーフォローアップデータの集計結果  
移植患者さんの成績(生存率)について
伝言板
皆様のご寄付を心より感謝いたします


Monthly Report

1998.1(骨髄移植推進財団発行より抜粋)

12月の新規ドナー登録者が43ヶ月ぶりに2千人台を記録。ドナー登録者の累計数は、開始から6年で10万人を達成

 12月の「骨髄バンク堆進月間」に合わせた各地での積極的な普及啓発活動や、各血液センター(一部献血ルームを含む)の土日曜日ドナー登録受付けが実施されたこと等により12月の月間ドナー登録者は、3年7ヶ月ぶりに2,060名に達しました。また、平成4年1月から始められたドナー登録は、ちょうど6年目で登録者累計が10万人を達成したことになります。皆様のご協力とご尽力に心から厚く御礼申し上げます。登録者現在数(取消し者を除いた数字)も9万人を超え、ようやく当面の目標であるドナー登録10万人が視界に入ってきました。一日も早い10万人達成のために引き続き努力してまいります。

国際協力事業の概況について

昨年4月〜12月末までのアメリカ、台湾との相互検索・移植等は下記の通りです。

「日本骨髄パンクの移植状況について」を発表

 この5年間の日本骨髄バンクを介した非血縁者間骨髄移植状況を1月8日(木)厚生省記者クラブにおいて、小寺良尚・財団企画管理委員長が発表・解説しました。

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骨髄移植を体験して

連載 第5回 坂井 洋子

 放射線をかける時は、誰も居ない部屋で、大きな機械の側に横になっているだけだったが、始まる時にジジジッと音がするのが不気味だった。私は、いつも二人のことを考えていた。一人はドナーのことだった。一体どんな方だろう。どうしてドナーになることを決めたんだろう。家族の反対は無かったのだろうか。そんなことを考えた。いつかバンクから来た用紙の中に、ドナーはいつでも捉供を止められて、もし今、この時期にやめても、法律的には、許される。患者は、それを承知しておけ、というような、恐ろしい 一文があったが私のドナーは、絶対そんなことはない、と思った。きっと正義感あふれる健康で優しい人だろうと勝手に考えていた。
 もう一人は、信大で一緒だったSさんのことだった。私が、移植のために佐久へ移ると言った時、Sさんは再発して入院していたが、「本当に坂井さんがうらやましい、ドナーがいたら、私も移植して貰いたい。坂井さん私はもうだめかもしれないから、私のぶんまでがんばって。」と言ってくれたのだ。私は、その時返す言葉がなかった。私に移植のことを初めて話してくれた時に、放射線の話になって、何かすごく恐ろしいことのように聞いていたのを思い出して、Sさん、何でもないよ。痛くも、痒くもないよ。と心の中で言っていた。
 放射線の二日目、何だかぐったりして、トイレに動くのもつらく、やっとの思いで食べたゼリーも吐いてしまった。様子を見に来た研修医のH先生にそう訴えると「放射線の二日目が一番つらい、三日目になると体が慣れて楽になる、と、本には書いてあります。」となんとも心許せない返事だったが、確かにその次の日は、気分がよかった。移植前最後の昼食は、ソースカツ丼だった。おいしそーと思って、箸をつけたが、結局ろくに食べられなかった。
 最後の放射線が終わって、消毒の薬で白く濁ったお風呂に入った。出るとつきそっていた看護婦さんがすかさず大きな白いシーツを頭からすっぽりかけてくれた。そして車椅子に乗せて無菌室まで運んでくれるのだが、なにしろ私はシーツのおかげで自分の爪先しか見えない。すると、もっと前よ。とかそのまま、そのまま。とかリードしてくれる看護婦さんの声が、次々に聞こえてきた。4人くらいいたと思う。飛ぶように忙しい看護婦さんが、私のために、こんなに集まっているんだ、と思うとうれしかった。こんなに丁重なあつかいを受けたのは、結婚式の着付けの時以未だ、と思った。
 そしてその日の夜遅く、先生が、真っ赤な点滴パックを持ってきた。私は、占滴が、終わるまでちゃんと正座をしていよう、と決心していた。それがせめてものドナーへのお礼だと思った。ところが一緒に入れた抗アレルギー剤かなにかの薬のためかもう眠くて眠くて途中で眠ってしまって、気が付いたら朝だった。それから3週間私は無菌室にいた。この文章の題は、「骨髄移植を体験して」なのだから、ここから詳しくしないといけないのかもしれないが、正直に言って、「移植して、無病室に一人で居て、3週間たって、外に出た。」そういう気持ちなのだ。
 フェニックスクラブの会報には、吐き続けて、血まで吐いたとか、ひどい下痢で、トイレの始末がつらかったとか、口内炎がひどくて薬を飲むのも大変だった、とかの経験談が載っていて、私も覚悟をしていたのに、そういうことがほとんど起きなかった。確かに吐さ気は、朝起さて空腹感を感じたときにあったが、ゼリーとかももの缶詰とかを食べるとすうーっと楽になる、まるでつわりのような吐き気だった。また排尿のたびに尿をコップに採るのがうまくいかなくて、この時期ほど男性がうらやましいことはなかった。一番心配していた熱はこの時も出なかった。ただなんとなく、だるくて、ほとんど私は横になっていた。一日中FM長野を聞いて、今はやりのガーディニングの本をめくって、そして時間がくると、TVの料理番組を見て、レシピをメモした。病気になる前、私はあまり手間暇をかけて料理をするより、とにかくさっさと済ませたいほうだった。が、人院生活が続くにつれてとにかく、あれこれと手をかけた料理がたまらなく作りたかった。この気持ちは多分入院患者なら多くの人が思っていることと思う。
 無菌室は一人といっても、一日に何回か看護婦さんが入ってきて、点滴を変えたり、食事の用意をしてくれたりして、非常に孤独ということはなかった。また先生もマスクに帽子、そして白だったかピンクだったかのエプロンをして、毎日みえたが、その姿はまるで、体が成長したのに、相変わらず以前の小さいエプロンを無理して着ている小学生の給食当番のようで面白かった。無菌室の窓からは、小高い丘と塔が見えて、春になると桜が咲き、ちょうちんが飾られると聞いて、どんなに美しいだろうかと考えた。3週間たって、普通病室へ移るときが来た。本当にうれしかった。どんな言葉でも言い表すことはできない気がした。このあともGVHDとか肺炎とか心配なことがあることは分かっていた。けれどそれはなんとかガッツで乗り越えよう、いつか「精神論はいらない」と思っていた私が、こう思うようになっていた。
 移植後初めての外泊は5月2日だった。入院するときに、ガチガチに凍っていた笠取、三才山の両峠は、まさに春爛漫。若葉が芽吹き、山桜があちこちに咲いていた。早く退院して、いっぱい花を植えよう。お料理をしよう。一年前には想像することさえできなかった楽しいドライブだった。 

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お た よ り

使って下さい私の臓器を

S・T生

 突拍子もない標題に皆さんびっくりしたでしょう。
 ご承知のように臓器の脳死移植法案が国会を通過したのは昨年の秋でした。この法案が国会で承認されることを確信していた私は、わが意を得たりとばかりそう早速その翌日、上田保健所へ臓器提供意志表示カード(ドナーーカード)を貰うべく電話しました。そしてカードは数日後、私の許に二枚郵送されて来ました。
 若いころから臓器移植に深い関心を持っていた私は現在、肝臓・腎臓・角膜の三種類の臓器提供の登録をしていますが早速このカードを生かして、私が脳死となった際に、心臓をはじめ、使用可能な臓器を提供する旨の意志を申請しました。しかし、七十数年間酷使した私の臓器が果たして患者さんに移植することが可能かどうかは若干疑問でありましたが...。
 昔、よく人生わずか五十年と言われていましたが、払はこの世に生を受けて既に七十有八年、この間さきの戦争の際には外地に出動し、敵機の爆弾・銃弾に何度となく遭遇しましたが、悪運強く今日まで、よくぞ生き延びてきたものと思っています。
 この私が、人生最後にすることができる社会への恩返しは、自分が脳死となった時に使用可能な臓器を難病に苦しんでいる患者さんに提供することであると、日ごろから深く胸に刻んでいた次第です。
 私のこの考え方に、老妻も共感してくれ、共にドナーの申請をし、お互いに家族証明もいたしました。
 トラは、死んでも皮を残すといいますが、払たちは脳死となった際には臓器を残し、難病の患者に提供したいと考えている今日このごろです。

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骨髄バンク関連図書の寄贈状況

 
  新たな寄贈先    主旨説明者   冊 数 
  大和美容室      霜 村      3 
   累  計     145施設   400 

 この寄贈に関わる費用は、バザー収益金・信州ジャスコ店内設置募金箱や一般の方からの寄付金でまかなわれております。身近なところで、多くの方に利用していただける所、学校・図書館・理容店・美容院・病院等の待合室などポスターも合わせて寄贈しませんか。
 連絡をいただければ事務局でセットしてあなたに送ります。

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こども病院署名活動継続のお願い

締切りの忙しい署名で、皆さん本当に大変だったと思います。ご協力ありがとうございました。更に勝手を申しますが、継続中のこども病院の用紙を追加発送させていたださます。できる範囲で集めていただけたら幸いです。現在無期限で継続中です。
 多くの会員の方にすでにご協力いただいておりますが、団体で協力していただいた分のみ紹介させていただきます。(敬称略)  

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書籍案内

 
「明日がいっぱい集まったなら・・・」 ごとう 和 秋田書店  790円
「骨髄移植ガイドブック」 加藤 俊一 日本医学館 1,500円
「悠君ごめんね」 高橋 照雄・真知子 マネジュ社 1,500円
「あやちゃんのスケッチブック」 白根 厚子 新日本出版社 1,400円
新刊「青い鳥は生きている」 国方 学 ポプラ社 1,000円

上記の本は事務局にもあります。

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お知らせ

長野県ホットハートの会 特別講演会

1998年2月7日 17時〜
於 長野県立こども病院2階会議室

「小児腫瘍患者に対するトータルケア」 聖路加国際病院小児科部長 細谷 亮太 先生

総合司会:国立療養所中信松本病院院長 塚田 昌滋 先生
挨  拶:長野県立こども病院院長 川勝 岳夫 先生 17時〜
特別講演:座長 信州大学小児科助教授 小池 健一 先生 17時〜18時45分

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ドナーフォローアップデータの集計結果

骨髄提供者に発生した特記すべき症状

  1. 骨髄採取針破揖、皮膚切開を要したもの(8例)
     骨髄採取針を操作する時、針が折れることがあります。内5例については皮膚を切開し、折れた採取針を取り出す必要がありました。1例については入院期間の延長、後日の通院が必要となり、該当期間について保険が適応されました。
  2. 骨髄採取部位の痛みが長期に及んだ例(5例)
     大半は1カ月以内に痛みがなくなりますが、経過観察が6カ月以上に及んだ例です。日常生活復帰に最も強く相関しているのが採取部位の痛みで別途集計しています。
  3. 義歯・歯牙揖傷(3例)
     全身麻酔時に気道チューブを挿入する際または抜く際に発生しています。
  4. 採取過多による貧血等による回復遅延例(2例)
     骨髄バンク発足初期にみられ、採取基準の遵守の徹底がはかられました。骨髄バンクニュースにドナーの体験談が掲載されました。
  5. 骨片化膿、切開(1例)
     骨髄採取時に小さい骨片が皮下に残存して化膿しました。切開して骨片を取り出し改善しています。
  6. 硬膜外麻酔による強いめまい(1例)
     骨髄採取担当麻酔医の会議(1996年11月:財団で主催)において、再度、骨髄採取時の全身麻酔の妥当性が確認されました。
  7. 腰痛悪化による歩行困難(一過性)(1例)
     腰痛の既往のあったドナー。退院後約2週間後に腰痛が再発し歩行困難となり再度入院し改善しました。再入院・通院の該当期間に保険が適応されました。腰椎すべり症が潜在していました。
  8. 膀胱カテーテルによる強い尿道揖傷(1例)
     血尿・痛みが強く8日間の入院を要しましたが改善しました。該当期間に保険が適応されました。軽度の血尿は、1.5%のドナーに報告されています。
  9. 硬膜外麻酔(拷痛軽減)のための硬膜揖傷(1例)
     髄液漏出のため、めまい、ふらつきが出現。処置を受け改善。該当期間に保険が適応されました。退院時の軽度のむかつきの残存は3.6%にみられています。
  10. 全身麻酔後の一過性難聴、耳鳴り(1例)
     難聴の既往のあるドナーで麻酔後一時的に悪化。改善しています。通院を要しました。該当期間に保険が適応されました。
  11.  骨髄採取のための全身麻酔の覚醒後、一過性の左半身麻酔を発したが、急速に自然回復した。しかし、左手尺側(小指の付根部分)に軽度の知覚純麻としびれ感が残存した。  ただちに麻酔科医、神経内科医等による診断およびMRI(核磁気共鳴装置による脳の断層写真)等の検査が実施されたが、異常は認められなかった。骨髄移植推進財団としても肺酔科医・血液内村医等の専門医師および弁護士からなるドナー安全委員会において、麻酔記録や種々の検査結果を取り寄せて検討を行ったが、残念ながら原因は判明できなかった。
     現在、骨髄移植推進財団がドナーの健康被害救済の目的で契約している、骨髄バンク団体傷害保険の適用を申請中である。
  12. 骨髄採取部位の皮層炎(1例)
     骨髄採淑部位周辺の皮膚に炎症がおこり長期にわたり外用薬が処方されています。
  13. 点滴部位の長期にわたる静脈炎(1例)
     点滴をいれた腕の静脈に炎症が発生し、炎症が徐々に改善してきている例が報告されています。軽度の点滴部位の痛みは別途集計されています。

骨髄採取中にドナーに発生した症状等

  1. 血尿(導尿カテーテルによる)(1.5%)  
  2. 骨髄採取中の血圧低下(収縮期80mmHg以下)(4.5%)  
  3. 血漿増量剤(ヘスパンダー等)の使用(5.3%)  
  4. 上室性不整脈(一過性)(0.2%)  
  5. 心室性不整脈(一過性)(0.5%)  
  6. 歯の揖傷(0.3%)  
  7. 採取針の損傷(0.7%)

採取翌月の症状等

  1. 排尿時痛(7.1%)  
  2. 38度以上の発熱(16.7%)  
  3. 解熱剤の使用(16.1%)  
  4. 感染症(一過性)(2.3%)  
  5. 肝障害(一過性)(1.7%)  
  6. 抗生物質の使用(大半は極短期使用)(85.8%)  
  7. 鎮痛剤の使用(37.8%)  
  8. 穿刺部位の異常(2.5%)  
  9. 鉄剤投与必要(31.1%)  
  10. 採取翌日歩行不可(1.0%)
    ほば歩行可能(30.9%)
    歩行問題なし(68.1%)
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伝言板

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皆様のご寄付を心より感謝いたします

(敬称略・順不同)
匿名(20,000円)、三木 公(FAX用紙20本)
大西 孝三(1,336円)、永井 治彦(5,000円)
柴田 洋幸(500円)、佐渡友静子(切手2,700円分)
中電保安協会中野事務所(3,048円)

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